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『どこまで進んだ?』――。この記事では、ビジネスの現場で起きるこの現象の裏にある「OSのバグ」を、アーキテクトの視点で解剖します。
よくある場面
家族で車に乗って帰省するとき。後部座席から、5分おきに声が飛んできます。
「まだ着かないの?」
「もうすぐだよ」
5分後、また「まだ?」。何度聞いても、車が速くなるわけではありません。運転する側はイライラし、聞いている側の不安も消えません。
ところが、「次のサービスエリアで休憩して、そこからあと1時間」と伝えた途端、静かになることがあります。後部座席が知りたかったのは「あと何分か」ではなく、「この車がどこへ向かっていて、途中で何が起きるのか」だったのです。
職場でも、同じことが起きています。仕事を依頼してから3日ほど経ちましたが、なかなか報告が上がってきません。たまらず聞いてしまいました。
「どこまで進んだ?」
「データの整理に時間がかかっていて……」
「……」
次の依頼では、報告が遅いことも考慮して、半日に1度聞くようにしました。
「どこまで進んだ?」
「自分のペースで進めます」
「……」
聞く回数を増やしても、何も変わりませんでした。変わったのは、お互いの空気が悪くなったことだけです。
なぜ起きるのか ― バグの構造
進捗は聞いているのに、方針は誰も聞いていない。このバグは、報告者とPMの両方にあります。
まず報告者。問題は、報告が遅いことそのものではありません。方針をPMと握らないまま作業を進めていることです。
方針さえずれていなければ、あとは作業が早いか遅いかだけの話です。しかし方針が決まっていない状態で時間だけが過ぎると、PMは不安になります。3日後に出てきた成果物が、まったく違う方向を向いているかもしれないからです。
一方のPMも、高頻度で「聞くだけ」になっています。システムでいえば、処理が終わるのを待つあいだ、ひたすら「終わった?」と問い合わせ続けるポーリングです。何度問い合わせても、処理そのものは速くなりません。リソースを食うだけです。
半日ごとの「どこまで進んだ?」で落ち着くのは、PMの焦る気持ちだけ。事態は何も好転しません。
なぜPMは高頻度で確認したくなるのか
PMの頭の中には、口に出していない前提があります。
最悪、自分が巻き取る。
そして巻き取るなら、残り時間で方針転換が間に合うタイミングまでに巻き取りたい。そのタイミングを逃さないように、高頻度の報告を求めてしまうのです。
車のたとえでいえば、PMは「最後のジャンクション」を気にしています。そこを過ぎたら、もう別のルートには乗れない。だから、その手前で何度も確かめたくなります。ところが、その「最後のジャンクション」がどこにあるのかを、作業者は知らされていません。
なぜ作業者は報告できないのか
他方、作業者は、集めた情報からうまく幹を抜き取れていません。
幹が見えていないので、どの方針を確認すればよいかがわかりません。確認すべきことがわからないので、報告できるのは「データを整理しています」という作業の様子だけになります。
「自分のペースで進めます」という返事も、反抗というより、何を報告すればいいのかわからないことの裏返しと見ることができます。
まとめると、このバグは次の2つが噛み合った状態です。
- PM:巻き取りの期限を自分だけが持っていて、それを「進捗」という聞き方で確かめようとしている
- 作業者:幹が抜けていないので、確認すべき方針がわからず、作業の様子しか報告できない
PMは「量」を聞き、作業者は「量」で答える。でも本当に合わせるべきは「向き」です。
では、どうしたら双方のコミュニケーションがうまくいくのでしょうか? PMは何を聞き、作業者は何を報告すればいいのでしょうか?
まず試せる一手:作業の前に「幹」を3行でそろえる
進捗確認が増えるのは、作業の途中まで、方向が合っているかどうかがわからないからです。そこで、作業に入る前に方針を3行だけそろえます。
- ① 何を出すか(アウトプットの形)
- ② 何を捨てるか
- ③ まだ迷っている分岐
「作業に入る前に、方針を3行で確認させてください」
システム開発でいえば、実装の前にインターフェース(入力と出力の約束)を決めるのと同じです。約束が合っていれば、中身に時間がかかっても手戻りは起きません。作業者が自分で幹を出せないときは、PMが「このデータで、最終的にだれに何を言いたい?」と問いかけて手伝います。
ここまでが、最初の一手です。この一手を習慣にして、同じバグを繰り返さない仕組みにするための残りの手順は、noteで公開しています。
残りの解決策(How)はnoteで公開中
ここから先の具体的な解決策・コマンドは、noteの記事で公開しています。
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あわせて読みたい:「あと10分で終わります」が60分に化けるバグ。進捗の数字を狂わせる「不確定因子」の正体
※本記事は、noteで公開した「「どこまで進んだ?」を聞くほど、PMの不安が増えるバグ」の無料部分をブログ向けに再構成したものです。


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