「VisaとMastercardなんて、どっちでも同じでしょ」
クレジットカードを作るとき、ブランドの欄でこう思った人は多いはずです。
実際、この2つはよく似ています。どちらも世界中で使えて、どちらも自分ではカードを発行していません。
でも、「どっちでもいい」は、半分しか正しくありません。
日常の買い物では差が出なくても、使う場所や持つランクによっては、はっきり違いが出るからです。
この記事では、Mastercardの歴史・強み・弱みを整理したうえで、多くの人が迷う「Visaとの違い」を表にまとめます。
Mastercardの歴史:銀行たちの「対抗連合」から生まれたブランド
Visaの前身が「1つの銀行のカード」から始まったのに対して、Mastercardは複数の銀行が手を組んでつくった共同組織から始まりました。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1966年 | アメリカの銀行たちが集まり、共同でカードを運営する組織(インターバンク・カード・アソシエーション)をつくる |
| 1969年 | 「Master Charge(マスターチャージ)」というブランド名を使い始める。赤と黄色の2つの円のマークもここから |
| 1979年 | 名前を「MasterCard」に変える |
| 2002年 | ヨーロッパのカード組織「ユーロペイ」と合併し、ヨーロッパでの基盤を固める |
| 2006年 | ニューヨーク証券取引所に上場 |
| 2016年 | 表記を「Mastercard」(cが小文字)に変え、ロゴも新しくする |
当時、アメリカではバンク・オブ・アメリカのカード(のちのVisa)が勢いを伸ばしていました。
それに対抗するために、ほかの銀行たちが集まってつくったのが、いまのMastercardです。
つまり、VisaとMastercardは、生まれたときからのライバルです。
よく似ているのは、同じ目的で、同じ時代に、同じような仕組みで育ってきたからなのです。
関連記事:「迷ったらVisa」は半分正しい。Visaの歴史・強み・弱みと、おすすめの1枚
Mastercardの強み
① 使える場所は、Visaとほぼ同じくらい広い
Mastercardは210以上の国と地域で使われています。
加盟店の数もVisaとほぼ同じ規模で、日常の買い物や海外旅行で「Mastercardだけ使えない」という場面はほとんどありません。
② ゴールド以上で「ブランドの特典」がつく
Visaは特典の中身がほぼカード会社しだいですが、Mastercardには、ゴールド以上のカードで使える「Taste of Premium(テイスト・オブ・プレミアム)」という、ブランド独自の優待があります。
たとえば、海外旅行のときに空港まで荷物を運んでくれるサービスの割引や、レストランの優待などです。
(内容はランクやカード会社によって違い、見直されることもあります。)
③ 日本のコストコで使える唯一のブランド
日本のコストコでは、クレジットカードはMastercardしか使えません。
コストコをよく使う人にとっては、これだけでMastercardを持つ理由になります。
Mastercardの弱み
① 日本では、タッチ決済の対応がVisaより少なめ
電車やバスの改札など、交通機関でのタッチ決済は、日本ではVisaのほうが対応しているところが多いのが現状です。
Mastercardの対応も増えていますが、よく使う路線がある人は確認しておくと安心です。
② 「ブランドの特典」は、一般カードではほとんど使えない
Taste of Premiumなどの優待は、基本的にゴールド以上のカードが対象です。
年会費無料の一般カードでは、ブランドならではのメリットを感じる場面はあまりありません。
③ 「Mastercardならでは」の特典は、発行会社しだいで中身が変わる
同じランクのMastercardでも、どの会社が発行しているかで、使える特典が違うことがあります。
ここはVisaと同じで、ブランド名だけで選ばないことが大切です。
VisaとMastercardの違い
ここが、一番迷うところだと思います。
2つの違いを表にまとめました。
| 項目 | Visa | Mastercard |
|---|---|---|
| 始まり | 1958年、1つの銀行のカードから | 1966年、銀行たちの共同組織から |
| 使える国と地域 | 200以上 | 210以上 |
| 加盟店の数 | ほぼ同じ(どちらも約1億9,900万店舗) | ほぼ同じ |
| カードを自分で発行するか | しない(カード会社が発行) | しない(カード会社が発行) |
| ブランド独自の優待 | ホテルやショッピングなどの優待が中心 | ゴールド以上で使える「Taste of Premium」など |
| 日本のタッチ決済(交通機関など) | 対応エリアが広め | 対応は増えているが、Visaより少なめ |
| 日本のコストコ | 使えない | 使える(クレジットカードはMastercardのみ) |
| 最上位のグレード | Visa Infinite | World Elite Mastercard |
※加盟店数・対応国数は、比較記事などで紹介されている2025〜2026年時点の数字をもとにしています。特典の内容やサービスの対応状況は変わることがあります。
結論:普段使いならどちらでもいい。差が出るのは3つの場面
表を見るとわかるとおり、使える場所の広さや加盟店の数は、ほとんど変わりません。
日常の買い物だけなら、VisaでもMastercardでも困ることはありません。
差が出るのは、次の3つの場面です。
- コストコをよく使う → Mastercard一択
- 電車やバスでタッチ決済をよく使う → 日本ではVisaのほうが対応エリアが広め
- ゴールド以上を持って、ブランドの優待も使いたい → MastercardのTaste of Premiumが選択肢になる
そして、一番おすすめしたいのは、VisaとMastercardを1枚ずつ持つことです。
どちらかが使えないお店やシステムトラブルがあっても、もう1枚で払えます。同じブランドを2枚持つより、ずっと安心です。
「アメリカはVisa、ヨーロッパはMastercard」は昔の話
「アメリカに行くならVisa、ヨーロッパならMastercard」という話を聞いたことがあるかもしれません。
これは、Mastercardがヨーロッパのカード組織と合併した歴史などから生まれた言い伝えです。
今はどちらのブランドも世界中で使えるので、旅行先だけでブランドを決める必要はほとんどありません。
Mastercardでおすすめのカード
Mastercardのカードを選ぶなら、MOFのおすすめは目的に合わせた2枚です。
- Mastercardの「頂点」を持ちたいなら:ラグジュアリーカード
- コストコを毎週のように使うなら:コストコグローバルカード
| 項目 | ラグジュアリーカード | コストコグローバルカード |
|---|---|---|
| 発行会社 | アプラス | オリエントコーポレーション(オリコ) |
| 国際ブランド | Mastercard(最上位グレードのWorld Elite) | Mastercard |
| 年会費(本会員・税込) | チタン55,000円/ブラック110,000円/ゴールド220,000円(2027年1月1日以降の新規申込は値上げ予定) | 2,375円(初年度無料。年1回以上の利用で翌年度も無料) |
| ポイント | 金属製カード。ラウンジや旅行・ダイニングなどの優待が充実 | コストコで1.5%、コストコ以外で1.0%(ポイントはコストコでの買い物に使う) |
| 申し込み | 自分で申し込める(最上位のブラックダイヤモンドは招待制) | コストコの会員であることが必要 |
| 向いている人 | Mastercardの最上位グレードを、招待を待たずに持ちたい人 | コストコをよく使う人 |
※2026年10月時点で、比較サイトなどに掲載されている情報をもとにまとめています。年会費・還元率・特典は変更されることがあります。申し込む前に、必ず各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。
ラグジュアリーカード:招待を待たずに持てる、Mastercardの最上位グレード
ラグジュアリーカードは、Mastercardの最上位グレードである「World Elite(ワールドエリート)」のカードです。
多くのブランドでは、最上位のカードは招待制です。でもラグジュアリーカードは、チタン・ブラック・ゴールドの3種類を、自分で申し込むことができます。
カードは金属製で、空港ラウンジや旅行、レストランの優待などがそろっています。
そのぶん年会費は高く、一番手前のチタンでも年55,000円(税込)です。特典を使い切れるかを、先に計算してから選ぶのがおすすめです。
コストコグローバルカード:コストコで一番ポイントが貯まる
コストコグローバルカードは、コストコとオリコが発行している提携カードです。
コストコでの支払いは1.5%、それ以外のお店でも1.0%のポイントが貯まり、貯まったポイントはコストコでの買い物に使えます。
年会費は2,375円(税込)ですが、初年度は無料で、年に1回以上使えば翌年度も無料になります。
コストコの会員であることが申し込みの条件なので、コストコを日常的に使う人向けの1枚です。
年会費をかけずにMastercardを1枚持っておきたい人は、申し込むときにVisaかMastercardを選べる、三井住友カード(NL)のようなカードをMastercardで作るのも一つの方法です。
関連記事:Visaのカードは、Visaが作っていない。クレジットカードの「地図」で全体像をつかむ
まとめ:似ているからこそ、「違い」で選ぶ
VisaとMastercardは、生まれたときからのライバルで、仕組みも使える場所もよく似ています。
だからこそ、選ぶときは「どっちが有名か」ではなく、小さな違いが自分の生活に関係あるかで決めるのがおすすめです。
- コストコを使うなら、Mastercard
- 交通機関のタッチ決済をよく使うなら、Visa
- 迷ったら、1枚ずつ持つ
この3つを押さえておけば、ブランド選びで迷うことはもうありません。
お金の「OS」を、書き換えよう。

