「メモでいいって言ったよね?」徹夜の資料と正解を求める部下の「学校のテスト」の呪い

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③ 判断のバグ

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「メモでいいって言ったよね?」――。この記事では、ビジネスの現場で起きるこの現象の裏にある「OSのバグ」を、アーキテクトの視点で解剖します。

よくある場面

「メモでいいって言ったよね?」

私は机に置かれた分厚い資料を指で叩きながら確認します。

「はい。メモは書いたんですが、そもそもの定義や構造の認識にズレがあると議論が破綻するので、明確にできるようにまとめました」
「……それにかけた時間は?」
「……一晩です」
「……これ、最終成果物として必要?」
「……不要です」
「不要なものを、一晩かけて作ったということ?」
「……」

これは実際にあったやり取りです。そして、この「一晩かけて不要な資料を作った部下」とは、かつての私自身です。

ここで重要なのは、部下(私)の「意図」自体は間違っていなかったということです。上流工程で定義や構造の認識を合わせておくことは、プロジェクトの致命的なズレを防ぐ上で極めて有効なアーキテクチャ設計です。間違っていたのは、その「実装方法(言動)」です。

定義や認識のすり合わせは、数分の口頭コミュニケーション(軽量な通信)で済むはずです。そこに徹夜という膨大なコスト(CPUとメモリ)をかける意味はありません。

なぜ起きるのか ― バグの構造

ではなぜ、部下はコストをかけてまで過剰な資料(オーバーエンジニアリング)を作ってしまうのでしょうか?

それは、部下自身が定義や構造を正確に捉えきれておらず、「間違えること」に極度に怖え、過剰武装しているからです。

例えば「あまおう(イチゴ)」の定義。部下が適当に「あまおう=イチゴです」とメモを持っていくと、PMから「いや、あまおうは『あかい、まるい、おおきい、うまい』の略だから、青くて小さいイチゴはあまおうじゃないよね」と突っ込まれる。このエラー(指摘)を恐れるあまり、「あまおうとは福岡県産の……」という分厚い資料を徹夜で作り込んでしまうわけです。

しかし、PMとのすり合わせの場は「正しい知識を発表する場」ではありません。「どの認識が合っていて、どの認識がズレているか」を検知するための場です。

これは「学校のテスト」の呪いと同じです。テストの本来の目的は、いい点数を取ることではなく「自分がわかっていないバグ(間違い)を特定すること」です。しかし、認知の歪みにより「正解することこそが絶対の善」というOSが組み込まれているため、間違えることを「学習の機会」ではなく「悪(減点)」だと捉えてしまいます。

システム開発において、初期段階でエラー(ズレ)が見つかることは、後戻りコストをゼロにする「極めてラッキーなイベント」です。

この「テストの目的」を履き違えた部下に対し、アーキテクト(PM)はどのように「正解主義の呪い」を解き、最速で未完成のメモを出力させるべきでしょうか?

まず試せる一手:打ち合わせを「テスト」だと宣言する

部下が徹夜で資料を作り込むのは、打ち合わせを「正解を発表する場」だと思っているからです。PMの側から、場の定義を変えます。

「明日の打ち合わせは、正解を持ってくる場ではありません。お互いの認識のズレを早く見つけるための場です。箇条書き3行で来てください」

ソフトウェア開発には、先にテストを用意してからつくる「テスト駆動開発(TDD)」という考え方があります。ズレ(バグ)は早く見つかるほど、直すコストが小さくなります。打ち合わせでズレが見つかれば、それは失敗ではなく成功です。

ここまでが、最初の一手です。この一手を習慣にして、同じバグを繰り返さない仕組みにするための残りの手順は、noteで公開しています。

残りの解決策(How)はnoteで公開中

ここから先の具体的な解決策・コマンドは、noteの記事「アーキテクトの過去問」として公開しています。

このテーマを深めるおすすめの本

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「間違えること=悪」という思い込みを外し、失敗を早く小さく出して学ぶ組織の考え方がわかる一冊。
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※本記事は、noteで公開した「「メモでいいって言ったよね?」徹夜の資料と正解を求める部下の「学校のテスト」の呪い」の無料部分をブログ向けに再構成したものです。

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