処分の取り消しの訴えと裁決の取り消しの訴えの両者を合わせて取消訴訟といいます。
違法な行政処分によって不利益を受ける私人を救済するための制度として行政不服審査の制度がありますが、これだけでは国民の権利利益の救済としては不十分です。
国民には、「裁判を受ける権利」が保障されていますから、行政の行為による権利利益の侵害に対しても、裁判による救済の道が開かれているわけです。
行政庁の行った処分に瑕疵がある場合、その瑕疵が重大かつ明白であるときは、当該処分は無効であって、最初からその効力を生じません。
その程度に至らない箇所がある場合は、その処分は一応有効に効力を生じました、取消判決により処分または裁決がなされたときにさかのぼって無効になります。
逆に言うと、行政処分に取消事由となる瑕疵があるときは、権限ある行政機関による取り消し又は取消訴訟によって 取消判決がなされない限り無効として扱われないと言うことです。
(1)処分の取り消しの訴え
処分の取り消しの訴えは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取り消しを求める訴訟です。
処分の取り消しの訴えは、当該処分について審査請求をすることができる時でも、審査請求を経ることなく提起することができ、また審査請求をしている時でも、これと並行して処分の取り消しの訴えを提起することもできるのが原則です。
これを自由選択主義と言います。
しかし、個別の法律に当該処分についての審査請求に対する採決を経た後で なければ処分の取り消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その採決がなされた後でなければ、訴えを提起することができません。
ただし以下の場合は審査請求の採決を経ないで処分の取り消しの訴えを提起することができます。
①審査請求があった日から3ヶ月を経過しても採決がないとき
②処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき
③その他採決を経ないことにつき正当な理由があるとき
(2)採決の取り消しの訴え
裁決の取り消しの訴えは、審査請求、再調査の請求 その他の不服申し立てに対する行政庁の裁決・決定その他の行為の取り消しを求める訴訟です。
取消訴訟ーその内容と訴訟要件 ①取消訴訟の意義
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