(1)審理員による意見書の作成と提出
審理員は、必要な心理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとされています。
この場合は、審理手続の本来の目的を達した事による終結ですが、その他、審理員は、弁明書、反論書、意見書、証拠書類・証拠物、書類その他の物件が相当の期間内に提出されない場合において、さらに一定の期間を示してその提出を求めたにもかかわらず、その提出期間内にそれらの物件が提出されなかったときも審理手続を集結することができるとされています。
審理手続を終結したときは、審理員は、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(審理員意見書)を作成し、速やかに事件記録とともに審査庁に提出しなければなりません。
さらに、審理関係人に対しては、審理手続を終結した旨及び審理員意見書等を審査庁に提出する予定時期を通知するものとされています。
(2)行政不服審査会等への諮問
①意義
審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、一定の場合を除き、行政不服審査会等に諮問しなければならない、とされています。
つまり、審査庁は、裁決をする前提として行政不服審査会等の第三者機関に対してお伺いを立て、その意見を踏まえた上で最終的な議決をする事になります。
この制度は、審査庁の行う裁決に中立的な第三者機関の意見を取り入れ、より客観的で公正な判断に到達することを可能とするため、設けられました。
なお、簡易・迅速を旨とする再調査の請求においては、行政不服審査会への諮問は要求されません。
②諮問機関(諮問の相手先)
(ⅰ)審査庁が主任の大臣または宮内庁長官もしくは外局である庁の長である場合は、行政不服審査会に諮問する事になります。
具体的に言うと、審査庁が各省大臣、宮内庁長官、外局である庁の長(例えば国税庁長官や特許庁長官)の場合は行政不服審査会への諮問が必要と言う事になります。
(ⅱ)審査庁が地方公共団体の長である場合は、地方公共団体に条例で設置された諮問内容を調査審議する附属機関に諮問する事になります。
③諮問の手続と行政不服審査会からの答申
審査庁が、行政不服審査会等に諮問をするときは、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければなりません。
審査庁は、諮問をしたときは、審理関係人に対し、諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければなりません。
審理関係人は、審査請求に係る事件に関する行政不服審査会等の調査審議の過程で、口頭意見陳述の申し立て、主張書面・資料等の提出、閲覧請求等をする権利が認められていますから、その機会を逸することがないようにするためです。
諮問を受けた行政不服審査会は、その審査結果を答申書にまとめて審査庁に回答(答申)し、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表することとされています。
審査庁は、その答申を尊重して判断しなければならないのは当然ですが、その答申に法的に拘束されるわけではないので、答申の内容とは異なった裁決をすることもできないわけではありません。