(1)意義
届出とは、行政庁に対して一定の事項を通知する行為であって、法令により直接にその通知が義務付けられているものです。申請と異なり、行政庁は届出に対して諾否の応答を義務付けられているわけではありません。
(2)届出の到達の効果
届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、その届出が法令によりその届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとなります。
分かりにくい条文ですが、この規定は次のような意味を持っています。
例えば、理容業やクリーニング業など一定の営業を行うに際して、許可ではなく届出で足りるとされている場合は、所定の事項を通知するだけで営業を始めることができるはずです。
しかし、現実の運用においては届出を受理、つまり届出を有効なものとして受け付ける行為を必要とするという扱いが行われてきました。
そうすると、規制緩和により、建前上は許可制から届出制に変更されても、受理を拒否することによって実際は許可制と同様の運用が可能となります。
このような弊害を避けるため、届出が法令に定められた形式上の要件を満たしている場合は、受理という別個の行為を必要とすることなく、事務所への到達だけで届出人の手続完了とするわけです。