行政法の一般原則とは行政法令の立法指針となり、個々の行政法令の解釈のよりどころとなるものです。
・信義誠実の原則
・権利濫用の禁止
・比例原則
・平等原則
・適正手続・説明責任の原則
に分かれます。
(1)信義誠実の原則(信義則)
民法に明文の根拠を持ていますが、現在では行政法も含めた法律関係全般に妥当する基本原則であることに異論はりません。
(2)権利濫用の禁止
民法に明文の根拠を持っていますが、信義則と同様、法律関係全般に妥当する基本原則と解されています。具体例としては個室付浴場(今でいうソープランド)の設置を妨害する目的で児童遊園を設置した県知事の行為を裁量権の濫用とした判例があります。
(3)比例原則
「その目的を達成するために採られる手段は、必要最小限度でなければならない」とする原則で、所謂「警察比例の原則」に由来するものですが、現在では国民の権利・自由を制約するすべての行政活動に適用される原則です。
この原則の根拠は憲法13条後段に求める見解が有力です。
これに依れば、「人権は最大の尊重を必要とするものであるから、やむなく人権を規制する場合も、その規制手段は必要最小限度にとどめなければならない」との帰結が導けます。
※ここでいう「警察」とは警官を含めた社会公共の秩序を維持するすべての行政作用を意味しており、一般用語としての警察は「司法警察」と呼びます。
(4)平等原則
憲法14条1項を明文の根拠とする原則であり、行政は国民を合理的な理由なく差別してはならないという意味を持つことになります。この原則も比例原則と同様、行政庁の裁量の限界を画するという機能を果たすことがあります。