行政はさまざまな観点から分類することができますが、次のような分類もあります。
・規制行政
・給付行政
・権力行政
・非権力行政
・侵害的行政
・授益的行政
(1)規制行政と給付行政
・規制行政
私人の権利・自由を制限することによりその目的を達成する行政活動を規制行政といいます。営業上の規制、道路の通行規制、建築の規制等がその例です。
・給付行政
生活に不可欠のサービスを提供することを給付行政といいます。生活保護や国民健康保険、介護保険関係等の福祉関係の給付、上下水道の整備・供給、道路、公園の整備等がその例です。
(2)権力行政と非権力行政
・権力行政
行政機関が私人に対して命令・強制等の形式で優越的な立場から行う行政を権力行政といいます。税金の賦課、各種免許の取り消し、土地の収用、建物の除去命令等がその例です。
・非権力行政
行政主体が強制を伴わないソフトな方法(行政指導)で行政目的を実現する行政を非権力行政といいます。まさに上記と真逆ですね(笑)。行政主体が私人と対等の立場で契約をしたり(行政契約)、勧告・指導・助言したりするのがその例です。
なお、現代の民主国家では権力行政と非権力行政はただの反意ではなく、まずは非権力行政を実行したのちに権力行政に移行するような手続きの段階として存在している点も留意が必要です。
(3)侵害的行政と授益的行政
・侵害的行政
私人の権利利益を奪い、または制限することを内容とする行政を侵害的行政といいます。税金の賦課、各種免許の取り消し、営業の停止、土地の収用などがその例です。
・授益的行政
私人に対し、何らかの権利利益を与える行政を授益的行政といいます。国民健康保険、介護保険、生活保護等の給付、各種許認可の付与等がその例です。
複雑な社会生活においては一方にとっては授益的行政でも他方には侵害的行政となる場合があります。このような行政を二重効果的行政(複効果的行政)といいます。現代社会においてはこのような二重効果を生ずる行政領域が著しく拡大しています。そのため、この二重効果的行政をいかに適切に規律するかが、重要な課題となっています。