不服申し立ての対象となるのは、「処分」と「不作為」ですが、処分の種類に関しては特に限定は設けられていません。
すなわち、違法または不当な処分及び不作為の全てが原則として不服申し立ての対象として予定されているわけです。
これを、一般概括主義または単に概括主義といいます。
不服申し立ての開口を広く開放しておくことによって、国民の権利利益の救済を十分なものにしようとする趣旨に基づくものです。
ただし、これには相当広範な例外があるとこにも注意してください。
①処分
不服申し立ての対象となる行政庁の行為について、行政不服審査法は、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」としています。
ここで言っている処分とは、まず講学上の行政行為(行政処分)と考えて良いでしょう。
また、「その他公権力の行使にあたる行為」には、公権力の行使にあたる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものが含まれます。
人の収容の例として、不法入国者を強制退去させる前に収容する場合があり、物の留置の例としては、食品添加物等の試験の用に供するための食品の除去等が挙げられます。
②不作為
不服申し立ての対象となる行政庁の不作為とは、行政庁が「法令に基づく申請に対して何らの処分もしないこと」であり、申請から相当の期間を経過した不作為が不服申し立ての対象となります。