(1)行政手続法の趣旨・規律対象
行政手続法一条は、次のように規定しています。
「この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする」
この条文は、行政手続法の目的及びその規律する対象を明確に示すものです。

(2)行政手続法の適用範囲
①原則
行政手続法は行政手続に関する一般法ですから、個別の法律に定めがある時は、その規定が行政手続法の規定に優先して適用されることになります。
言い換えると、個別の法律に特別の定めがなければ、行政手続法の規定が適用されることになります。
尤も、行政活動は多岐にわたるため、行政手続法を一律に適用することが適当ではないと考えられる事項については、次のように相当広範な適用除外が規定されています。
②適用除外事項
(ⅰ)国会または地方議会の議決による処分
(ⅱ)裁判または裁判の執行による処分
(ⅲ)国会または地方議会の議決、同意等を経てされる処分
(ⅳ)会計検査院の検査官会議で決すべき処分、行政指導
(ⅴ)刑事事件における検察官等による処分、行政指導
(ⅵ)国税、地方税の犯則事件及び金融商品取引の犯則事件に関する処分、行政指導
(ⅶ)国公立学校等における教育関係に関する処分、行政指導
(ⅷ)刑務関係に関する処分、行政指導
(ⅸ)公務員関係に関する処分、行政指導
(ⅹ)外国人の帰化・出入国関係に関する処分、行政指導
(ⅺ)人の学識技能に関する試験・検定の結果についての処分
(ⅻ)利害調整目的でなされる裁定その他の処分、行政指導
(ⅹⅲ)災害現場等における公益確保に関する処分、行政指導
(ⅹⅳ)情報収集目的で行われる処分、行政指導
(ⅹⅴ)不服申し立てに対する行政庁の裁決・決定その他の処分
(ⅹⅵ)行政手続法の手続規定に基づきなされる処分、行政指導