(1)開示請求権者
「何人も」行政機関の長に対し、開示請求をすることができます。
日本国民はもとより、外国に在住している外国人であっても開示請求をすることができます。
また、自然人、法人の他、法人格のない団体であっても開示請求できます。

(2)行政文書
①対象となる文書
開示請求の対象となるものは、「行政文書」です。
行政文書とは、国の行政機関の職員が職務上作成または取得し、組織的に用いるものとして、行政機関が保有する文書です。
紙の文書はもとより、図画や電磁記録もここにいう行政文書に含まれます。
電磁的記録とは、情報を収録した磁気テープ、フロッピーディスク、CD、DVDなどパソコン等で再生することにより認識可能な情報媒体です。
これらの文書は、決裁や供覧等の手続が終了していなくても、組織として利用・保存されているものであれば、行政文書として開示請求の対象となります。
ただし、職員個人のメモなどは、組織共用文書とは言えませんから、開示請求の対象となりません。
官僚、白書、新聞、雑誌等として販売されるものや歴史的・文化的資料、学術研究用の資料として公文書館等に特別の保管がされているものは除かれます。
②不開示情報
行政文書は、原則として開示することが義務付けられていますが、私人の権利利益の保護や公益の保護のために、次の6つの種類の文書は、不開示とするとこが認められています。
(ⅰ)個人情報
特定の個人を識別することのできるもの、または特定の個人を識別することはできなくても、公にすることにより個人の権利利益を害する恐れがあるもの。
開示された情報だけでは、特定の個人を識別できなくても、他の情報と照合することにより、特定の個人の識別が可能となる情報も開示請求できません。
例えば、開示された情報と新聞報道された情報を組み合わせることにより、特定の個人を識別できるような場合がこれにあたります。
(ⅱ)法人等に関する事業情報
法人その他の団体に関する情報その他事業に関わる情報で、公表すると事業者の競争上の地位その他正当な利益を害する恐れがあり、または非公開とするとの条件で任意に提供されたもの
(ⅲ)国の安全等に関する情報
防衛、外交など国際関係に関する情報で、公開すると国の安全を害し、または国際的信頼や外交交渉に不利益をもたらす恐れがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由があるもの
(ⅳ)公共の安全に関する情報
犯罪の予防、鎮圧、捜査、酵素の維持、系の執行等に関する情報で、公表すると公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがあると行政機関の長が認めるにつき相当の理由があるもの
(ⅴ)審議、検討または競技に関する情報
行政内部における、審議、検討、協議に関する情報で、公表すると、率直な意見の交換が妨げられたり、意思決定の中立性が不当に損なわれ、あるいは不当に国民の間に混乱を生じさせる等の恐れがあるもの
(ⅵ)事務・事業等に関する情報
国や地方公共団体が行う事務・事業に関する情報で、公にするとその適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあるもの

(3)開示請求手続
開示請求は、必要事項を記載した開示請求書を行政機関の長に提出して行うのが原則です。
行政機関の長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、相当の期間を定めてその補正を求めることができます。
その際には、補正の参考となる情報を提供することに努めなければならないとされています。
開示請求書に記載が要求されているのは、
①開示請求をする者の氏名または名称及び住所、法人その他の団体にあっては代表者の氏名
②行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項
です。
これでわかる通り、開示請求書には、請求の理由や目的を記載する必要はありません。
つまり、開示請求者がその行政文書に対してどのような利害関係を持っているかは問われません。
なお、開示請求をする際及び請求が認められて開示が実施される場合には、所定の手数料を納なければなりません。