(1)意義
公物とは、国または公共団体などの行政主体により、直接に公の目的に供用される個々の有体物をいいます。
例えば、官公庁の庁舎、国公立学校の校舎、道路等です。
つまり、行政組織を構成する人的要素が「公務員」、物的要素が「公物」です。
公物は「直接に公の目的に供用される」ことが要されるため、国有の有価証券その他の普通財産は含まれません。
また、行政主体により公の目的に供される必要があります。

(2)公物の分類
①目的による分類
直接に一般公衆の共同使用に用いられる公物を公共用物、専ら国または公共団体の公用目的に使用される公物を公用物といいます。
②成立過程からの分類
公物は
・自然のままの状態で存在し、共同使用される自然公物(河川、海浜、湖沼)
・人工的に公の目的に使用するために作られる人工公物(道路、公園、運河)
に分類できます。
人工公物として成立するためには、
一般公衆が利用できる形態を備え、それをその目的に供する旨の行政主体による公用開始行為を必要とします。
逆に、形態が失われるか、首長による公用廃止行為があれば公共用物ではなくなります。
自然公物は
自然の状態において、公物としての性質を有するので、その成立には公用開始行為を必要としません。
③公物の管理権と所有権の関係からの分類
国や公共団体が所有する公物を自有公物、私人が所有する公物を他有公物といいます。
国や公共団体の所有地、国有の国宝などが自有公物
市町村gあ道路として管理する私有地、国立博物館に展示中の私人所有の日本刀などが他有公物
です。

(3)公物の使用関係
①一般使用・自由使用
道路・公園のような公共用物はもともと、一般の自由な使用が当然に予定されています。
その使用関係は一般使用または自由使用といわれます。
②特別使用・許可使用
道路でのデモ行進などのように、通常の使い方と違う目的で一時的に使用するような場合です。
このような使用の場合は一般公衆の利益と衝突するため、許可という行政行為により使用できる地位が与えられます。
③特許使用
特定人に道路の用途または目的を妨げない範囲で使用権を認めて使用させるような場合です。
特許という行政行為によりその地位が与えられます。
例えば、電力会社が電柱を立てる行為などが当てはまります。