(1)意義
行政計画とは、行政機関が定める計画であって、一定の公の目的のために目標を設定し、それを実現するための手段・方策の総合的調整を図るものといえます。簡単に言えば、行政計画は、行政が行政活動を行うにあたってのプランです。
「計画による行政」という言葉があるように、現代の行政においては、多種多様な計画が策定され、実施されています。この「計画による行政」が、「法律による行政」を形骸化させているのではないか、という問題性が指摘されることがあります。

(2)拘束的計画と非拘束的計画
行政計画は、さまざまな観点からの分類が可能ですが、拘束的計画と非拘束的計画の区別は、行政救済の可否との関係で重要な意味を持ってきます。
拘束的計画とは、国民に対する法的拘束力をもった計画であり、非拘束的計画とは、そのような拘束力を持たない計画のことです。非拘束的計画については、その策定に法律の根拠を必要としませんが、拘束的計画については法律の根拠が必要です。
拘束的計画は、特定の個人に対して、一定程度の権利制限的効果を伴います。そこで、拘束的計画により権利制限を受ける個人に対して争訟による救済を与えるべきではないか、という問題があります。

(3)行政計画と損害賠償
行政計画は通常長期にわたるものですから、その間の事情の変更などによって計画自体の廃止・変更といった事態も起きてくることは当然想定されることです。しかし、公にされた計画を信頼して事業を進めていたのに、計画が中止・変更されたりすると、それに関わった事業者が損害を受けることがあり得ます。
このような場合、その事業者は公に対して損害賠償を請求できるのでしょうか?最高裁は、事業者は公の計画の実現に信頼を寄せて行動してきたのであり、そのような信頼は法的保護に値し、計画の変更は事業者に対する関係では違法であるとして、計画の変更により生じた損害の賠償を公に命令しました。つまり、計画の変更そのものは適法であるが、それによって損害を被った相手方との関係では相対的に違法となり、損害賠償請求の対象となる、と判断したわけです。