(1)内閣
憲法65条は「行政権は、内閣に属する」と規定しています。
この規定は、あらゆる行政を内閣が「自ら行う」ということを意味しません。
一般的には、行政権は行政各部の機関が行使し、内閣は行政各部を指揮監督し、その全体を総合調整し統括する地位に立つことになります。
内閣の国務大臣はいずれかの国家行政組織法上の行政機関の長となり、主任の大臣として行政事務を分担管理しますが、行政事務を分担しない大臣の存在も許されています。

(2)内閣の統括下にある行政組織
①内閣府
内閣府は、内閣の重要政策に関わる事務を助け、政府関係機関相互の連絡調整にあたることとされています。
内閣府は、国家行政組織法の適用を受けない別格の行政機関として位置づけられています。
②省、委員会、庁
国家行政組織法は、内閣統括の下に省、委員会および庁を置き、それぞれの行政事務を分担管理させることとしています。これらの行政機関の設置及び廃止は、法律で定めることが要求され、政令で定めることはできません。
委員会と庁は、内閣または省に外局としておかれる行政機関ですが、存在理由は相当に異なります。
(ⅰ)省
省は内閣の統括の下にそれぞれの行政事務をつかさどる機関としておかれます。
各省の長には、国務大臣が当てられます。
各省の設置や所掌事務に関わる基本事項は、それぞれ各省設置法などの法律で規定されますが、官房、局、部、課などの内部部局の設置及びその所掌事務の範囲は政令で定められます。
(会社で置き換えると、会社の設立は設置法、会社の内部部局の設置は政令って感じです)
(ⅱ)委員会
委員会は、政治的に中立公正が特に必要とされる行政分野や専門的科学的な行政を進める必要のある分野に、各界の識者、権威者を集めて設置されます。
委員会は委員長と委員によって構成される合議体であり、合議により意思決定が行われます。委員会の委員は、職務上の独立性が保障され、主任の大臣の所管に属するとされていますが、その権限行使につてい大臣からの式に服することはありません。
(ⅲ)庁
庁は、その事務量が膨大かつ定型的であったり、あるいは特殊な専門的扱いを必要とするために、本省の内部部局で扱うのを適当としない事務を、ある程度職務上独立して分担管理するために設けられます。
例えば、国税庁は税務についての業務が膨大かつ定型的であり、財務省の内部部局とするよりも専門部署を独立して設けることが適当であるという考慮から設置されています。