さて、行政行為というものをもう少し厳密に定義すれば、一般に
「行政庁が、法に基づき、公権力の行使として、国民に対し、具体的事実に関し法的規制をする行為」
となります。
つまり、行政の行為であれば何でもかんでも行政行為というわけではなく、上のような特質を備えた行政が行政行為となるわけです。

①行政庁が公権力の行使として(一方的に)行う行為である
行政行為は行政庁の行為です。すなわち、法令によって、一定の権限を与えられた行政庁と認められる機関がその名で行った行政行為となるのであり、行政庁以外の行政機関の行為は行政行為となりません。
行政活動には、行政契約や行政指導のような非権力的なものもありますが、行政行為はこれらと違って、法的強制力を伴う権力的行為ということになります。

②具体的事実に関して規制する行為である。
この点で、一般的抽象的な規範を定める行政立法などと区別されます。「法律による行政」の原理から行政行為はkならず法の根拠を必要と私、一般的抽象的な形で規定された法律を具体的事実に適用して法効果を生じさせる行為です。

③相手方である私人の権利義務に変動を生じさせる行為である
不特定多数人に対して行われる行為であっても、その相手方に具体的な権利義務の変動を生じさせる一般処分、例えば、告示による道路の供用開始行為については、それによって不特定多数人に当該道路の通行が可能となるという、具体的な法的効果を生じますから、行政行為となります。
租税の賦課処分をはじめとして、大多数の行政行為は相手方の同意なく行われますが、公務員の任用や帰化の許可といった行政行為は、それを行うのに相手方の同意を必要とします。これらは講学上、「同意を要する行政行為」といわれます。